更新日:2025.06.18 公開日:2025.04.25 身近な湿度のおはなし

熱中症のアラートは湿度で決まる

春のお花見シーズンが終わったと思ったらすぐに、熱中症対策が必要な季節がやってきますね。
「あれ?まだ春なのに?」と思われた方もいるかもしれません。しかし、気象庁と環境省が運用する「熱中症警戒アラート」は、毎年4月25日頃から10月25日頃まで運用されています。
この時期の運用になっているのには、「湿度」が大きく関係していることをご存知でしょうか?

4・5月は7・8月の気温に比べるとまだ熱中症のリスクを感じるような気温ではありませんよね。
この時期に運用が始まる理由の1つとして、熱中症による救急搬送が増え始める時期であることがあげられます。5月はまだ熱中症のリスクが高いイメージがあまりないかもしれませんが、まだ体が暑さに慣れていないことから熱中症になる人が増える時期です。そのため、屋外での活動が増える大型連休前から運用を開始して、熱中症予防を促しています。そしてもう一つ、熱中症の危険性が高くなるのは、気温の高さだけではありません。湿度の高さも大きく影響しています。

湿度が高いときに、なぜ熱中症になりやすくなるのか、人間の体の仕組みを考えると分かります。暑いとき、汗をたくさんかいて、汗を蒸発させることで体温を下げようとします。しかし、湿度が高いとき、皮膚から汗が蒸発しにくくなるため体温が下がらず、体内の水分や塩分のバランスが崩れてしまいます。すると、熱中症になってしまうのです。湿度も熱中症のリスクを予測するうえで、重要な要素であることが分かったと思いますが、実は、気温以上に湿度に注意しなくてはならない、ということもご紹介します。それには、「熱中症警戒アラート」が発表される基準を知ると分かります。

「熱中症警戒アラート」は、熱中症の危険性に対する気づきを促すことを目的として、気象庁と環境省が共同で発表しています。前日の17時及び当日の5時頃に最新の予測値を元に発表されますが、暑さ指数(WBGT)算出地点のいずれかで、日最高暑さ指数を33以上の予測した場合に発表されます。
この暑さ指数は、「気温」「湿度」「輻射熱」から算出されますが、計算時の比率は1:7:2です。
そうです、湿度が7割を占めているのです。アラートの決め手は湿度であることが分かります。
つまり、気温がちょっと高くなったときより、湿度がちょっと高くなったときの方が、熱中症により注意する必要があるのです。
さらに2024年からは「熱中症特別警戒アラート」も追加されました。こちらは、暑さ指数35以上で発表されます。

熱中症のリスクは、気温だけではなくて、湿度が大きく影響していることが分かったと思います。
桜の季節が終わったら、今度は夏に向けた体づくりをしておくことをおすすめします。暑さに慣れ、熱中症になりにくい体の状態になることを「暑熱順化」と言いますが、熱中症を引き起こすリスクを減らすためは必要です。暑熱順化を進めるために、軽い運動の習慣をつけましょう。ウォーキング・ジョギング、サイクリングなどの野外での運動や、筋トレ・ストレッチ、入浴・サウナなど、室内でも汗をかくような習慣をつけて、体を暑さに慣らしておくといいでしょう。
 

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