
更新日:2025.11.11 公開日:2017.01.19 身近な湿度のおはなし
インフルエンザ・今年の流行状況
例年、流行時期や流行の型が異なるインフルエンザですが、2025年度の流行についてお届けいたします。
季節性インフルエンザのウイルスには、A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、そしてB型(ビクトリア系統)の3つの種類が中心となります。(※2025/2026シーズンは、世界的な検出状況に基づき、B型(山形系統)が除外され、3価ワクチンへ移行する見通しです。)
今シーズン(2025-2026年)は、流行の中心となる株としてA型(H1N1)が予測されており、南半球の流行状況から、この株は若年層でも肺炎などの重症化リスクが高いことが指摘されています。また、新型コロナウイルス感染症の流行期にインフルエンザの流行が抑えられた反動で、集団としての免疫(免疫ギャップ)が低下している可能性があり、すべての年齢層の方がインフルエンザに注意する必要があります。
日本のインフルエンザ流行は例年12月下旬から翌年2月がピークですが、2025年度は9月下旬の時点で全国平均の定点報告数が流行基準値「1.0」を突破し、過去10年以上で最も早い流行開始となりました。
さらに、今年はインフルエンザだけでなく、RSウイルス感染症やマイコプラズマ肺炎の患者報告数も例年より早い時期から高い水準で増加しており、新型コロナウイルス(COVID-19)も含めた複数の呼吸器感染症の同時流行が強く懸念されています。発熱や咳などの症状が出た場合は、自己判断せず、かかりつけ医などに相談することが大切です。
インフルエンザ対策にはうがい、手洗い、ワクチン接種などが有効とされていますが、ある一定以上の湿度を保つことも重要視されています。
G.J.Harper(1961年)の有名な研究では、エアロゾル中のインフルエンザウイルスについて、ある一定の湿度がウイルスの生存率を低下させることが示されています。 例えば、温度20℃で湿度20%に保った時の6時間後のウイルス生存率が60%であったのに対し、同温度で湿度を50%に保った場合、生存率は5%になったと報告されています。
厚生労働省からもインフルエンザ対策に適度な湿度の保持(目安として40~60%)が推奨されています。
重症化を防ぐためにもワクチン接種を検討したり、罹患リスクを下げるうがい手洗い、マスクの着用、加湿器での乾燥対策をしっかりととり、様々な感染症に警戒しながら快適に冬場を過ごしましょう。