更新日:2023.09.28 公開日:2023.09.27 身近な湿度のおはなし

実は秋が一番多い!行楽シーズンは食中毒にご注意

2023年の夏は観測史上最も暑い夏になり、多くの熱中症のニュースに混じって、
食中毒の事例もたくさん目にしました。
残暑厳しい今年の秋、食品を提供する企業にとっても、
また家庭においても食品管理には引き続き注意が必要です。

実は、食中毒発生件数は夏よりも秋に多いことをご存知でしょうか?
厚生労働省が集計している月別発生状況のデータを見ると、
夏〜秋には主に細菌や寄生虫が原因となる食中毒が多く発生し、
特に9,10月は発生件数が多くなっています。
また、冬にはウイルスによる食中毒が増加しており、
驚くことに一年を通して常に発生していることが分かります。

▼参考:農林水産省のホームページ
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/statistics.html

秋に多く発生している理由として考えられるのは、
夏と比べると低くなるものの温湿度がまだ高めであることや、
行楽シーズンでお弁当の持参や野外で食事をする機会が増えることが挙げられます。
また、夏の厳しい暑さで免疫力が低下していることも影響していると考えられます。
特に今年は、暑い夏を乗り越えた体に、続く残暑が追い打ちをかけ、
体調を崩している方も多いのではないでしょうか。
食中毒が一年で最も多いのは秋だということを忘れず、しっかり注意しましょう。

それでは、具体的にどのような対策をすればよいでしょうか?
お弁当を作ることを想定して注意するポイントを紹介します。
食中毒の原因となる細菌には、「カンピロバクター」「黄色ブドウ球菌」「病原性大腸菌(O-157)」
「サルモネラ菌」「ウェルシュ菌」「セレウス菌」などがあります。
これらの細菌は、温度が30℃以上、湿度70%以上の環境で繁殖しやすいため、
高温多湿の時期は作ったお弁当がいたみやすくなります。ポイントは、「繁殖させない」ことです!

・アツアツのおかずを入れて蓋をしない!
多くの方が気をつけていると思いますが、おかずやご飯は冷ましてからお弁当箱へ詰めましょう。
また、おかずによって温度差があると、せっかく冷めたおかずの温度が上がり、菌が繁殖する可能性が!
すべてをしっかり冷ましてから、詰めてくださいね。

・水分を取ってから入れる!
水分が付いたままだと菌が繫殖しやすくなりますので、しっかり切ってから入れましょう。
また、時間が経って食材から出た水分を、他のおかずやご飯が吸収してしまうことも!
水分が出そうなものは、仕切りや別の容器に入れるなど、他のおかずに影響しないように工夫しましょう。

・中までよく加熱!
ほとんどの細菌は加熱によって死滅するため、食材の中まで十分に加熱するようにしましょう。
また、10℃以下になると細菌が繁殖するスピードが遅くなり、
マイナス15℃以下になると繁殖ができなくなります。
他のおかずの温度上昇を抑えるためにも、冷凍食品を使うのもおすすめです。


家庭で作るお弁当の場合は、梅干しやお酢を使ったおかずを入れておくのも効果があると言われていますが、
その場合も温湿度には十分注意しましょう。
そして何より、菌を食材につけないよう、使用する調理器具や手は消毒することもお忘れなく。


冒頭でもお話しましたが、冬になって湿度が低下する季節になると、
乾燥している環境を好むウイルスが原因となる食中毒が増加します。
夏が終わってひと安心。と思わずに、食中毒には一年中注意してくださいね。
最近は、お弁当に入れられる抗菌シートや、水分を吸収するおかずカップなどが販売されていますので、
便利なグッズを利用しても良さそうです。
食中毒の対策を徹底しながら、秋のレジャーを楽しみましょう!

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