公開日:2024.02.14 身近な湿度のおはなし
加湿器を使うと温度が下がる?
冬に暖房をつけて室内が乾燥すると、加湿をしますよね。
ですが、「加湿器を使うと寒くなる」と思っている方がたくさんいらっしゃいます。
快適に過ごすために暖房を使っているのに、加湿器で室温が下がってしまったら本末転倒な気がしますが、
実際はどうなのでしょうか?
加湿器を使うと寒くなると感じたことのある方に質問です。
その時に使っていた加湿器のタイプは何でしたか?
さまざまなメーカーの加湿器がありますが、加湿方式(どのように加湿をするのか)で分けると
主に3つのタイプに分類できます。
・気化式
・水噴霧(超音波)式
・蒸気式
寒くなると感じたときは、おそらく気化式タイプを使用していたのではないでしょうか?
なぜ気化式の加湿器だと寒くなるのか、加湿する仕組みを知ると分かりやすいと思います。
気化式タイプは、加湿エレメントと呼ばれるフィルタを水で湿らせ、
そこに風を当てて気化させる加湿方法です。
この加湿エレメントによって細かくなった水蒸気を含む風を室内に放出します。
▼気化式のイメージ
この方法は、水が液体から気体に変わるときに起こる「気化熱」を利用しています。
つまり、空気中の熱を奪いながら水蒸気を加湿器から出しているため、
吹き出し口から出てくる加湿空気は冷風になります。
吸い込み空気よりも、おおよそ3~5℃低い温度の風が吹き出し口から出ています。
そのため、加湿器を使用していて寒いと感じたことのある方がいるのだと思います。
しかし、それは吹き出し口から出る風なので、部屋全体が寒くなるほどの温度差ではないと考えてよいでしょう。
対策として、加湿器からの風が人に直接当たらないよう、置き場所を工夫してみてください。
本当に室温への影響はないのか、
実際に弊社オフィスで気化式の加湿器を使い、
簡単に計測してみたところ、以下のような結果になりました。
▼2024年2月8日 天気:晴れ 場所:大阪本社
計測場所 | 温度 | 相対湿度 |
A:加湿器の吸い込み口(足元) | 20.9℃ | 49.3% |
B:加湿器の吹き出し口 | 18.2℃ | 78.2% |
Bから2.5m程離れたデスク上 | 22.1℃ | 44.9% |
確かに吹き出し口から冷たい空気が出ていますが、実際に人が常時いるデスク周辺では、
加湿器による寒さは感じない温度になっています。
さらに、湿度が上がると体感温度も上がると言われていますので、
加湿器を使用していると、むしろ暖かいと感じる人もいます。
使うと寒くなる…という理由で、加湿器を使わないのはもったいないですね!
また、うちわで仰ぐだけでも涼しく感じるように、
風が当たると冷たさを感じるのは、気化式の加湿器だけではありません。
ちなみに、蒸気式の加湿器は水をヒーターで沸騰させ、その蒸気によって加湿する方式ですが、
その場合も室温より1~2℃程低い空気が出るようです。
加湿器を使うと寒さが気になるという場合には、
・人がいる場所から離して設置する
・風向きを変えられる場合は上や反対側に向ける
・エアコンから出る暖かい空気に、加湿器からの空気を乗せるような場所に配置する
など、置き場所を工夫すれば、寒くならないように使用できます。
吹き出し口の温度以外にも、加湿方式によってメリット・デメリットがあるため、
これから選定する場合は、「おさえておきたい加湿器選びのポイント」を参考に
環境に合うタイプを選んでくださいね。
「加湿器を使うと寒くなる」と思って、加湿器の利用を避けていた方は、
上記を参考に、加湿器の利用を再検討してみてください。
加湿器を使っている方は、置き場所を工夫し寒い冬を快適に過ごしてくださいね。