更新日:2023.01.06 公開日:2022.11.28 身近な湿度のおはなし

さつまいもは湿度でおいしくなる

夜になるとどこからともなく、「石や~きいも」という声が聞こえてきませんか?
寒い冬に食べる熱々の焼き芋は最高ですよね。
この甘くておいしい“さつまいも”は、収穫直後よりも貯蔵した後の方が甘味が増すことをご存知でしょうか?
さつまいもの貯蔵には湿度の管理も重要です!

■キュアリング貯蔵
収穫したさつまいもを長期間保存できるようにし、味もより一層おいしくする貯蔵方法です。

収納庫の温度を30~33℃にして、収穫したさつまいもを3,4日置くのですが、
その際の湿度は、なんと90~95%と大変高く設定します。
その後、放熱して13~14℃に調整します。
さつまいもが腐敗する原因の多くは、収穫時にできた傷から細菌などが入ってしまうことです。
この処理をすることで、収穫時にできた傷にコルク層ができて傷をふさぎ、
水分を閉じ込めるので、状態が良いまま長期間貯蔵ができるようになります。

また、この処理を行うことで、さつまいもの中のでんぷんは糖に変化します。
どうなるかというと、さつまいもがねっとりとした質感になり、甘味が増し、
外皮がなめらかに、おいしいさつまいもにレベルアップするのです!
近年人気の「安納芋」「べにはるか」「シルクスイート」などの品種は、
ねっとり系・しっとり系と呼ばれ、高い糖度と粘度が特長です。
この特長の秘密には貯蔵も深く関わっており、「べにはるか」は収穫してから30日以上貯蔵して、
より一層甘みが増したものを出荷するようルール決めをしているところもあります。

湿度95%は、食品にとってとても高い湿度なので、腐敗が進んでしまうのでは?と心配になりますが、
乾燥に弱いさつまいもを健康に、そしてよりおいしく追熟させるために必要な湿度なんですね。

■家庭での保存方法
家庭でも温度・湿度に注意して保存すれば長く、追熟させながら保存できます。

さつまいもを家庭で保存する際に注意すべきは、
低温障害が起きて傷まないように温度を13〜16℃程度を保つこと。
また、乾燥していると、水分が抜けてしわしわになってしまうため、
湿度80〜90%のところで保存しましょう。
そこで、洗わずに土がついたまま1本ずつ新聞紙にくるんで保管すると、
寒さと乾燥からさつまいもを守るのに効果的です。
保管場所は、床下収納などの台所の湿度が高い場所がおすすめです。
上手に保存ができれば3ヶ月〜半年も保存できます。

蜜が溢れ出すような、しっとりした焼き芋を味わうためには、湿度管理がかかせません。
寒さと乾燥に弱いのは人間もさつまいもも同じですね。

野菜やお肉など食物にとっての最適な温室度の目安については、
産業のための加湿
でもご紹介しています。

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