更新日:2023.01.10 公開日:2016.09.15 身近な湿度のおはなし

食中毒と温湿度の関係

9月に入りましたが今年は台風も多く、暑い日・寒い日、乾燥した日・湿度が高い日など日々天候が変わっていますね。

今回は"食中毒"をテーマに取り上げます。

食中毒といえば梅雨から真夏にかけてのイメージがありますが、実は一年を通して感染する可能性があります。

そもそも食中毒とは、
有害な物質に汚染された食品を食べることによって起きる健康被害のことを言います。
感染すると、腹痛・嘔吐・下痢・発熱などの急性胃腸炎症状を起こします。

原因となる病因物質により分類されますが、まず『細菌性食中毒』は細菌が原因で起こる食中毒です。
食品を食べることで細菌が体内に入り腸の中で増殖し、症状を引き起こす「感染型」、食品の中で増殖した細菌から発生する毒素を食べることで、症状を引き起こす「毒素型」があります。

加熱によって細菌自体を殺菌しても毒素が耐熱性の場合も多く、結局は感染してしまうこともあります。
海外での食中毒のほとんどが細菌性食中毒です。
カンピロバクター、サルモネラ菌、病原性大腸菌などが挙げられます。

次に『ウイルス性食中毒』は、細菌性と違い寒く乾燥した環境で流行する食中毒です。
冬に流行するノロウィルスなどがここに当てはまります。

3つ目の『自然毒食中毒』は、フグなどの「動物性」、毒キノコなどの「植物性」があり、本来動植物が持つ有毒成分を食べることで感染する食中毒です。

その他、食品添加物や水銀などが原因の『化学性食中毒』、『寄生虫食中毒』を含む、大きく5つに分類されます。

患者の90%以上が細菌・ウイルス感染によるものですが、その中でもこの時期原因となる細菌は基本的に高温高湿を好み、気温20℃以上になると活発になり気温25℃以上、湿度70%以上で一気に増殖します。(種類により異なります。)

昨今では秋も長く暑い時期が続く点、暑い時期が続くことによる抵抗力が低下する点から、この時期は特に注意が必要です。

少量の細菌であれば食べても胃液により殺菌され発病はしませんが、大量摂取した水で胃酸が薄まっていたり、医薬によって胃酸の分泌が抑えられていると十分に殺菌されず、発症しやすくなるのです。
水分を多く摂取する暑い時期に患者が増えるのは、このような理由も挙げられます。

感染後は経口補水液の摂取や手洗い・調理器具の殺菌・食品の冷蔵庫への保存・十分な加熱等の対応をしましょう。

最近では気温25℃以上、湿度75%以上で『食中毒注意報』が発令される都道府県もあります。
日々の湿度と温度を知ることで、食品や健康に対する意識も高めていきたいものです。

関連リンク