更新日:2023.01.06 公開日:2020.04.27 身近な湿度のおはなし

マスクで加湿してますか?

新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防で、ほとんど毎日マスクを着けて生活することが当たり前の光景になっています。
感染症対策には必要なことですが、マスクを常に着けていると、うんざりすることもありますよね。
特に、マスクの中の湿気による、不快感やにおい、化粧崩れなど、困りごとが絶えません。
実際にマスク内の湿度は何%だと思いますか?

東京大学の研究グループが、湿度センサー付きマスクを開発して研究を行いました。
2015年に発表されたその研究データによると、マスクの中の相対湿度は70〜80%を保っています。
とても高い数値ですね。これだけ湿度が高いと、不快感だけでなく、雑菌繁殖によるにおいや肌荒れ、化粧崩れなど、問題が起こるのも納得できます。

マスクの本来の使用目的としては、ウイルス感染者が着用することで、咳やくしゃみによる飛沫感染を防ぐものです。
しかし現状は、感染予防のために使用する方が多くなっています。うんざりしながらも、予防のために着用するメリットはあるのでしょうか。

コロナウイルスやインフルエンザなどのウイルスはとても小さく、一般的な不織布マスクを通り抜けるため、体内への侵入を防ぐことはできません。 しかし、マスク利用によって、マスク内の湿度が上がると、感染対策として有効と言われています。
まず、ウイルスの体内への主な侵入口は口と鼻です。
口と鼻をマスクで覆い、相対湿度40~60%にすることで、ウイルスの生存率を下げる効果が期待できます。 体内に入る前に、ウイルスの動きを抑えることができれば、感染リスクは低くなりますね。
また、口の中を潤わせることで、気道粘膜を保護し、線毛運動の働きを高めることができます。粘膜と線毛運動がきちんと働くと、口や鼻から侵入してきたウイルスを、外に押し出す効果があります。

マスクを常時使用していると不快感もありますが、感染予防にも有効であることが分かりました。
外は乾燥していても、ウイルスの侵入口の湿度を保つことができる、便利なツールなんですね。
また、自分で気づかないうちにウイルスに感染し、誰かに移してしまう可能性もあるため、たとえ体調が良くても、感染症流行中のマスク着用は、感染拡大を抑えることにつながります。
手洗いや、他人との距離を保つこと、部屋の換気をこまめに行うこととあわせて、室内の加湿とマスクも利用し、湿度による感染リスク低下を目指しましょう。

関連リンク